白内障の精査・治療(手術含む)

A、はじめに

白内障とは、老化やその他の原因により水晶体が混濁してしまい、視機能が衰える病気のことをいいます。すべての白内障が手術適応になるわけではなく、患者本人が「物を見ること」に何関して何らかの不満を感じ、その原因が白内障によってもたらされたことがはっきりした場合に通常適応となります。但し例外もあり、水晶体の膨化や強い遠視の方で、近い将来緑内障発作を起こす危険性のある場合も手術適応になります。その他硝子体手術・緑内障手術を行う際に、手術を安全に行う目的で併用することもあります。

B、濁りの程度・部位により種々の白内障があります。
皮質混濁

皮質混濁

後嚢下混濁

後嚢下混濁

前嚢混濁

前嚢混濁

過熟白内障

過熟白内障

C、白内障の病態・手術の詳細については→ここをご覧ください。
D、術後眼所見
2.4mmの創口ですが無縫合で綺麗に閉じています。

2.4mmの創口ですが無縫合で綺麗に閉じています

円形の前嚢切開(CCC)内に挿入された眼内レンズ(IOL)です。

円形の前嚢切(CCC)内に挿入された眼内レンズ(IOL)です

IOLは嚢内固定されています。

IOLは嚢内固定されています

E、手術のまでの流れ

しかしながら、いかに白内障手術が日帰りで安全にできるようになったといっても、日本では1/2000人くらいに生じるとされる術後感染症を絶対に起こさせないようなシステムは未だ確立されておりません。白内障手術の適応は、手術によってもたらされるbenefit(恩恵)とdemerit(損益)を天秤にかけた時、benefitの方が圧倒的に見込まれる場合に限られると考えます。

具体的には…

  • 視力低下やQ.O.V.(Quality of vision)の低下が、本当に白内障手術で改善するのかどうかについて厳密に検査いたします。
  • 手術にともなう合併症のリスクがどの程度あるかを精査します。
    (チン小体脆弱性・水晶体核硬度・散瞳状態・角膜内皮細胞の性状・細胞密度等を調べます)
  • 以上がクリアできれば手術における全身合併症が生じないかどうか、他科主治医への相談および採血を行います。
  • 挿入する眼内レンズの度数を患者様と話し合った上決めます。
  • 実際の手術日を決定します。(①~⑤まではその日のうちの1~2時間で済みます)
  • ⑥後日、手術説明会に参加していただきます(約1.5時間)
  • 術3日前より、説明会時にお渡しした抗菌剤を術眼の方にのみ点眼開始して頂きます。
  • ⑧術2日前の月曜日に手術日の来院時間をお電話でお伝えします。
  • 手術開始予定時刻の2時間半前に来院していただきます。
  • 術後は30分前後の安静後に日帰り手術の方は帰宅していただきます。
  • 術翌日朝、当院にて眼帯を外します。(ひがき眼科の患者様はひがき眼科にて)
F、当院の白内障手術の特徴

当院では毎週水曜日に約10~20例の白内障手術を行っております。手術には少なくとも10,000例以上の白内障手術を経験した眼科医が常時二人以上、術者か助手を務めますので、まさかの合併症のいち早い察知に優れ、術者にとっては非常にリラックスして手術が臨める環境といえます。あくまで現時点での話ですが、術後眼内炎の発生は当院では経験しておりません。常勤医(野間 一列)および檜垣文雄医師は、かつて角膜切開にての白内障手術を多数行っておりましたが、現在は特殊な例外を除き、ほぼ全例に無縫合上方強膜2.4mm切開+6mmアクリルIOL(インジェクターにてOne action挿入)を行っています。また症例によっては同日に両眼の手術を行うこともあります。
さらに当院では現在以下最新の眼内レンズを挿入しています。

  • AMO社テクニス(TECNIS Optiblue 1-Piece IOL)
    着色非球面レンズ。角膜のゆがみ(収差)を吸収し、若い頃の見え方に近くなるとされている。概日リズムを崩さない。
  • AMO社テクニストーリック(TECNISR Toric 1-Piece IOL)
    乱視を矯正できる眼内レンズ。保険適応となっておりますので負担金は変わりません。当院では積極的にこのトーリックIOLを挿入しております。
  • AMO社多焦点眼内レンズ(TECNISR Multifocal 1-Piece IOL)
    世間で話題となっている遠近両用(多焦点)の眼内レンズ。
    その名の通り、遠方と近方のどちらにもピントが合います。しかしながら今のところ保険適応とはなっていないため、保険適応外扱いとなります。(費用は当院の設定した価格となります)
    すべての人に挿入できるわけではなく、角膜乱視(後面乱視を含む)の強い方やその他の眼疾患のある方には適応とはなりません。また一般的には80歳以上の高齢の方には不向きとされています。
G、術後の安静度

1.通常は術翌日まで眼帯をして頂きます。
2.翌日より保護眼鏡(メオガード)の装用・清浄綿(ピュアリーゼアイ)にての顔面の清掃
3.術2日目より入浴可(目に絶対に水が入らないように)、喫煙可
4.術4日目(水曜日が手術なので日曜日)より洗顔・洗髪・飲酒・勤労可としています。
ただし安静度は個々のケースで異なります。
不明な部分は自己判断するのは絶対に避け、ご遠慮なく医師並びにスタッフにお尋ね下さるようにお願いいたします。

H、手術費用は片眼につき(H28.3.31まで)

1割負担の人で1.5万円
2割負担の人は3万円
3割負担で4~5万円程度であると考えてください

お気軽にお問い合わせください。082-249-5585

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