眼瞼内反症の手術(埋没法・切開法)

内反症の手術(埋没法・切開法・Hotz法・Jones-Kakizaki変法)

手術費用は埋没法、切開法によって異なり、片眼につき(H28.3.31まで)

埋没法
1割負担の人で2000円弱
2割負担の人は3500円
3割負担で6000円程度

切開法
1割負担の人で2500円弱
2割負担の人は5000円
3割負担で8000円程度

であると考えてください。

内反症とは俗に逆睫毛(さかまつげ)と呼ばれるものの一部を指します。上まぶた、下まぶたどちらにも生じます。
逆睫毛と呼ばれるものの中には、本来の睫毛列以外の部分から生えてくる睫毛が眼球に当たってしまう睫毛乱生も含まれますので、内反症とは区別します。内反症は本来の睫毛がなんらかの原因で内側を向いてしまい、角膜や結膜に接触するために、眼痛や目ヤニを生じてしまうものを言います。
内反症は睫毛内反症や眼瞼内反症とも呼ばれることがありますが、眼瞼内反症と睫毛内反症は、教科書でも厳密には区別されておりません。

睫毛内反症→瞼縁の方向は正常で睫毛が眼球表面に接する。小児・若年者に多い
眼瞼内反症→眼瞼自身が内反し、瞼縁が眼球表面に接する。高齢者に多い
と考えるのが一般的だと思います。

術式は内反のメカニズムに対して、それを改善させるものでなければなりません。

1、睫毛内反症の手術

下眼瞼睫毛内反症の手術:睫毛内反症は、睫毛を外方に牽引するLower eyelid retractorの働きが弱いことによって生じます。よって若年者の内反症(epiblepharonという)においては基本的にはLower eyelid retractorを瞼板下方+眼輪筋に縫合するLower eyelid retractors advancement法を行います。本法は他院で手術を受けられたあとの再発例にも有効です。

上眼瞼睫毛内反症の手術:美容外科でさかんに広告されているのでご存知の方も多いと思いますが、埋没法・切開法の長所と短所を挙げますと…

埋没法:Downtime(術後の腫れ)が少なく、早期の社会復帰が可能です。二重まぶたのラインが気に入らなければ早めの抜糸で元に戻せます。そのかわり、コンタクトレンズの着脱や頻繁に眼をこすったりすれば、中に埋没した糸が緩んで自然に一重になって手術の効果が消失するという最大の短所も持ち合わせています。また縫合糸を結膜上に露出しすぎると、術後に縫合糸が原因で結膜肉芽腫を生じる可能性もあり注意が要ります。

露出した縫合糸が原因で生じた結膜の炎症

露出した縫合糸が原因で生じた結膜の炎症

慢性偽膜性結膜炎を生じている

慢性偽膜性結膜炎を生じている

露出した縫合糸のため、角膜に傷がつきやすくなっている

露出した縫合糸のため、角膜に傷がつきやすくなっている

(他院で行われた埋没法術後合併症)

切開法:術後は少なからず内出血を生じますし、そのままでは人目をはばからざるを得ない程に眼が腫れます。脂肪を取りすぎると、厚い二重や三重瞼になることがあり、それを修正するには脂肪注入などが必要となり、かなりやっかいです。ただし埋没法のように自然に二重が消失することは極めて少ないのが最大の長所です。

当院で実際に行っている埋没法は、縫合糸を結膜上に露出させない術式です。
よって術後に縫合糸の露出が原因となる結膜肉芽腫の発生やLid wiper epitheliopathyといったドライアイ様の症状をを最小限に抑える工夫をしております。

アイプチ使用歴が長く、うっすら二重になっているが睫毛は角膜に接触しており、角膜びらんによる眼痛を生じている。手術希望のため紹介受診された

アイプチ使用歴が長く、うっすら二重になっているが睫毛は角膜に接触しており、角膜びらんによる眼痛を生じている。手術希望のため紹介受診された。

埋没法を行った後の写真。

埋没法を行った後の写真。
「術前と顔つきが変わると困る」とのことで5mm幅で重瞼作成した。
角膜びらんは消失し、眼瞼も外反している。

(当院で行った埋没法術前後)

術後3日目の皮膚表面(埋没部)です

術後3日目の皮膚表面(埋没部)です

縫合糸は完全に埋没されております

縫合糸は完全に埋没されております

2、眼瞼内反症の手術

基本的には加齢に伴って生じるケースが多いです。

下眼瞼牽引靱帯の弛緩→Lower eyelid retractor advancement
眼輪筋の瞼縁への移動・集積→Wheeler変法(+Blephaloplasty)
の術式を使い分けますが、水平方向の弛緩がよほど強くない限りは柿崎法を行うのがベストであると考えています。

– 術後の注意点 –
眼瞼は人体の中で最も血行のいい部分の一つです。
よっていかに止血を十分行っても、術後の安静が保たれなければ、翌日の皮下溢血(内出血・青血)は避けられません。
これを最小限にするためには、術後はうつぶせ姿勢をとらないこと、おしゃべりを控えることが肝心です。

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